走り出したらもう、止まらない。



Perfumeのライブに行ってきた。
ついでに言うと広島へは初めて行った。


わたしがPerfumeに出会うきっかけは妹だった。
妹が強烈にPerfumeを好きでいるので、なにかと趣味が合うこともあり興味本位で聴き、観るようになった。
JPNというライブに誘われたので、興味と付き添い気分の両方で足を運んだ。

結果、あ〜ちゃんの可愛さと奇天烈さにハマった。

曲が好きだったのもあるだろうが、ジャニーズのコンサートに慣れていた目は天地がひっくり返るほど圧倒された。それくらい演出が凄かった。
また、耳で聴くだけだった曲が映像や彼女たちのパフォーマンスを実際に目にすることで好きの度合いが変わったりした。
何もかも新鮮だった。
女性アイドルというものは小学生の頃うっすらとモー娘。が好きかも…くらいの感じでしか知らず、ジャニーズにどっぷりだったわたしは興味を抱くことすらなかったのだが、Perfumeはこう、なんというかアイドルに期待する以上のものをわたしにみせてくれた。
JPNは幾度か参加することが出来た。毎回同じなようで、やはり違う。毎度、毎度、もっと見たいと思わせてくれた。


あ〜ちゃんが好きだなーとぼんやりと思いながらわたしは何年かライブに行き続けた。
その最中も、わたしはジャニーズが本命であったし、どこか妹の付き添い気分が抜けなかった。
妹はそれはそれはPerfumeにのめり込んでいたので「あそこまではわたしはのめり込んでいないな」という思いがあったのだと思う。自分の意思で行きたいと望みはしていたが、妹が行かないといえば行かないであろうとは思う。
が、毎年なんらかのライブに行くことが出来ていた。
毎年、前年よりもさらに素晴らしくなったPerfumeをみることが出来ていた。

そんな中、不意にあ〜ちゃんかしゆかのコンビが気になり始めた。
あ〜ちゃんとのっち、のっちとかしゆか、このコンビにはない不思議な可愛さに惹かれ、いつしかわたしはゆかちゃんのことも好きだと思い始めた。

ぐるんぐるんツアーの代々木にはいった時、完璧に二人を見ている自分に気付き、本格的にあ〜かしの二人が好きなんだなぁと思うようになった。
もちろん三人が好きなのは当たり前なんだけれど、とりわけこの二人が一緒になると胸が高鳴るのだ。


さて今年である。
武道館と広島グリーンアリーナでライブがあると聞いて、わたしは当然いくものと考えていた。
ただ、15周年という記念すべき年のライブである。
チケットが取れるだろうか、とハラハラする妹の近くでわたしもハラハラしていた。
みたかったのだ、単純に。去年より良くなっているであろうPerfumeのライブが。
結果は正直びっくりしたが武道館と広島両日が取れていた。周りにPerfumeを好きな人が妹だけなので倍率もなにもわからないけれど、ジャニーズだったらこれヤバイんじゃ…と思った。からびっくりした。まさか(妹の)自チケで武道館も広島も当たるとは。

広島には当然行きたい。
が、そうなると金銭面での余裕がなく、武道館は泣く泣く諦めることにした。
…これが後に本気の後悔となることをこの時は知らなかった。諦めずに行けばよかった。

広島には初めて行く。
そもそも遠征という行動は昨年の年末、嵐のデジタリアンで北海道に行ったのが初めてだ。
その後年末にKAT-TUNのカウコンのため大阪に行ったが、どちらもドタバタに終わった。不安であった。

が、妹は広島に行くのが二回目だったのでまあ大丈夫だろうとナメていた。


まず広島に着いて困ったのは、移動に使う路面電車Suicaが使用できないことだ。
路面電車を使うことをなんとなく聞いてはいたので、事前にSuicaに交通費として多めにチャージしていた。これが裏目に出てしまった。
新しくその場で使えるICカードを買うのはあまりにお粗末だし、結局広島にいる間はずっと小銭を用意することに必死だった。まず出来た思い出は小銭作りである。
Suicaユーザーで広島に行かれるという方は是非小銭を用意してから行って欲しい。


Perfumeゆかりの地に色々と足を運んだ。とはいえ妹について回っていたというのが正解だろう。知識としてはわたしは一般的にPerfumeを知っている人より「ちょっと知ってる」くらいのものだから。
何処にいってもPerfumeのファンがいた。
そんなことを思ってしまうくらい、ここに来てもわたしはまだ[付き添い]気分が抜けていなかった。


Perfumeのチケットは当日、入場するその時まで席がわからない。
なのでどの辺りから見れるのか、とハラハラしていた。
入場時間になり妹の後ろに付き従う。手渡されたチケットは、スタンド最前列のものだった。ちなみに方角は西である。

元々広島グリーンアリーナ自体があまり大きい会場ではないからか、スタンドの最後列でもよく見えるだろう。まさかの最前列というよく見えるにもほどがある席に座って、妹と二人幸運をかみしめていた。

Perfumeのライブでは始まる前に何度かCMがモニターに流れるのだが、開演直前のCMでは会場全体がCMに合わせて手拍子をする。シュールである。しかしこれがたのしい。
何分か開演時間を過ぎ、会場全体が暗くなる。この瞬間はどのライブでもテンションの上がり方が凄まじい。

わたしはセトリも予備知識もなーーんにもなくこのライブの日を迎えたので、初っ端からテンションぶち上がりだった。曲順や細かいところは省略する。

この日、わたしは当然あ〜ちゃんとゆかちゃんを見る予定だった。そのつもりだった。しかしながらpick me upでゆかちゃんが乱れた髪を後ろにバサッと手で振り払った瞬間、ゆかちゃんに視線が釘付けになってしまった。

Perfumeは三人とも好きである。そのなかでも、あ〜ちゃんとゆかちゃんが特に好き〜、というフワフワした感情でいた。わたしはPerfumeのファン、そういう立ち位置の人ではないと思っていた。何故なら、本気でPerfumeを追いかけている妹や、他のファンの人からしたらこんな緩いやつ駄目だろ…と不思議と思っていたから。
ライブが終わり、涙のにじむ目で妹に語った。


「わたし、ゆかちゃんしか見えなかった」


方角が西だったのもあるだろう。
※妹曰くゆかちゃん側だったようだ。

大きい手のひらをかかげて身体を揺らすゆかちゃんや、MCで話さない時もずっと優しい笑顔のゆかちゃん、彼氏募集中のいっそ凶器なほど可愛い広島弁のゆかちゃん…見ようとしなくても、三人とも視界に入っていても、ゆかちゃんしか見れなかった。
1日目が終了し「ねえのっちわたしのこと指差したよね…」と灰になっている妹と並んでホテルに帰った。



2日目である。
Perfumeゆかりの地巡りはまだ続いた。八誠というお好み焼き屋さんに行った。
生まれて初めて広島焼きを食べたのだが、予想よりずっと美味しかった。大阪風しか知らなかったの損してた。でも、空腹でも一枚が限界だわアレ。二枚ペロッと食べていた妹すごい。
いや、普段ならばわたしもそれくらい食べれたかもしれない。しかし、2日目ということは、今日で終わってしまうということなのだ。昨日、ゆかちゃんが大好きだと気付いたばかりなのに、もう1日しか残されていない。

あ、広島の八丁堀あたりをウロウロしていたら、えげつないくらいの盛り方をするジェラート屋さんを見つけた。味はもうめちゃめちゃに美味い。しかし盛り方が本当にえげつない。でも美味しいので広島に行く際は是非行って欲しい。また広島に行くことになったらわたしは絶対行く。
※帰る日にも行った。2日連続でえげつないジェラート食べた。


今日がオーラス。わたしにとってもだが、この日はライブのオーラスでもある。会場前ですら熱気が凄かった。
バッジを追加で買いたかったが売り切れ。全種類可愛かったけど、今思うとあ〜ちゃんの書くゆるいニコちゃんマークのバッジ欲しかったなあ。
開場していたので入場すべく向かった。
お兄さんから手渡されたチケットに書かれていたのは、アリーナ席。ステージに近いブロックから一つ後ろのブロックだったが、広島グリーンアリーナ、アリーナだったらどこでも近い。ステージを見上げる感覚は、最終日に震える心臓をぶち壊すには充分だった。すごい。何が何だかわからないけどすごい。

西側ということは、わたしにとって幸運だった。2日目も彼氏募集中を西に向かってやってくれた。あの瞬間に永遠にいたかった。
最後の最後まで、ずっとゆかちゃんに釘付けだった。ラストということもあり、パフォーマンスはキレキレで格好良く、綺麗で、喋るとふわふわ柔らかい声で終始可愛くて、好きだ…!と思った。

そういえば1日目はスタンドだったので銀テープが取れず、会場外で優しい人から一本分けていただいた。だからアリーナ席だとわかった時、誰かにその優しさを返したいと思い、飛んできた銀テープを何本か手にした。が、わたしが余りにもPerfumeに頭からのめり込んでボーっとしていた為会場内に忘れ物をしてしまい、そのため時間がかかり、銀テープを手に会場外へ出た時にはもう周りにほとんど人がいなかった…悲しい…。よってわたしの手には銀テープがめちゃめちゃある。もしこれを読んで欲しいと思ったら遠慮なく言ってください、あの親切なファンの方から頂いた優しさを誰かにお返ししたい。なんだこの話。でも本気です。


終わってしまった。
Perfumeのライブが終わってしまった。

ホテルに帰る道すがら、妹とぽつぽつ感想やらなんやら話しながら、すごく胸が苦しかった。
「早く次のライブがみたい」その気持ちでいっぱいだった。


今までPerfumeのライブに行って、こんな渇いたような、満たされたような不思議な気持ちになったことはなかった。

ホテルに帰り、妹に「今まで付き添い気分だったが、違う気がする」と話した。
怒られるかな、と思ったが、妹は呆れ顔だった。

「広島にまで来て、なに言ってんの?」

目から鱗だった。
そりゃそうだ、普通、付き添い気分だったらわざわざ広島になんて行かない。ジャニオタやっててすら遠征をしたのは去年が初めてというくらいひよっこなのに、Perfumeのためにはるばる広島に行ったのだ。自分ではまったく気づいてなかったが、わたしはとっくの昔にPerfumeのファンになっていた。
それを自覚出来たことも含めて、このライブを観れたこと、広島まで行ったことは間違いではなく、むしろこうしてゆかちゃんが好きだと気付くために必要だったんだなと。そう思った。


チョコラBBを飲み、ベッドに潜り込み、目を閉じると、瞼の裏でゆかちゃんがステージで踊っていた。
Perfumeが、ゆかちゃんが、好きだなと思った。



こうして、わたしの広島遠征が終わった。
付き添い気分で行ったわたしが、正真正銘Perfumeのファンとして戻ってきた。
観れて良かった、行ってよかった。


応援してくれる人がいる、自分たちも楽しい、だからPerfumeを続けます。
そう言ってくれたあ〜ちゃんに、頷きながら優しい目をしていたゆかちゃん。



あの日の続きを、この目でみたい。